はじめて起業をしようと思った方へ

お金

斉藤さんは何故起業をしようと思ったのですか?と聞かれる事も多いので、まずは起業の事について話してみようと思う。

自己紹介にも書いたけど、リストラされて仕方無くというのが実情である。55歳で年齢的にも就職は厳しい。ならば今のうちに起業をしようと思ったというのは動機としてはもちろん大きい。ただ、必死で探せばサラリーマンとして就職する道も無いわけではない。起業をする前からわかっていたことであるが、サラリーマンとしてぬくぬくと生きていた方が楽である。

少なくとも自分はそうして30年以上もの間サラリーマンとして生きてきたのであるから。

起業をするための意志と準備

起業準備のための本はたくさん出ている。格安で手伝ってくれる会社や士業の方々もたくさんあるし、またYouTubeやブログにもノウハウはいくらでもある。

ただいくら起業のノウハウを知ったところで、なぜ起業するのかを考えなければ起業に意味はないし、それは本を読んでもわからない。起業する人が自分で考えなければならないし、ここは効率的に行うよりも時間をかける必要がある。

お金持ちになりたい、有名になりたい、そういう動機で起業をすることは別に不純でもないし、悪い事とは思わない。ただ、それよりも大事なのは、どんな事業をやりたいか。それによって何を実現したいのかと言う事だと思う。

ただあれこれ理由をつけて、やらないというのでは意味が無い。やると決まったらさっさとやった方がいい。実際にやる前にあれこれ考えても、やってみないとわからない事の方が多い。起業した後で軌道修正はいくらでもできる。

もちろん自分が何がしたいか?何ができるのか?といっても明確にはわからない人がほとんどであろうし、実際に起業をしてから変更をすることも多いだろう。とはいえ起業の世界は甘くはない。企業の生存率の数値を見た人も多いだろうけど、多くの企業が3年以内に消えてしまっているのも事実である。

起業の生存率について詳しいデータは中小企業庁「中小企業のライフサイクル」にて。

なぜ起業支援を無料で行っているのか

自分の場合はホームページにもTwitterにもさんざん書いてきたが、起業して実現したいことは「介護とDXで日本の将来を良くする」ことである。

少子高齢化の進展の中、日本の社会的な地位は低下。サラリーマンの賃金はあがらず、それどころか年々増える税金や社会保障費で手取りは減る一方。

自分はなんとか逃げ切れるけれど、将来の若者がこれではあまりに可愛そう。そんな考え方に共感してくれる仲間も増えた。

私くらいの年代になると、欲も無くなるから、起業のモチベーションは主に社会貢献になる。ただ若者はもっと欲があってもいい。異性からもてたい。高級車に乗りたい。ブランド品が欲しい。全然良いと思う。とにかく起業する若者がたくさんいた方が日本はもっと元気になると思うので、若者の起業支援も行っている。もちろん無料である。結構時間もとるし、丁寧に行っているので、なんで無料なんですかと聞かれる事も良くあるが、お金が無い人からお金をとるわけにもいかない。

お金があればそもそも僕に相談には来ないだろうし、何よりそれが日本のためになると思っているからである。

会社が絶対に潰れない唯一の方法

会社が潰れるのは赤字になったからではない。コロナで売り上げが激減した会社もたくさんあるが、潰れてしまった会社もあれば、残っている会社もある。また黒字倒産という言葉もあるように、赤字でなくても潰れる事もある。

会社が絶対に潰れない唯一の方法はお金を1円も借りない事である。

金融機関に自分もいた事があるからわかるのだが、基本的には銀行をはじめ金融機関はお金を借りて欲しい。というのも調達金利よりも貸出金利の方が高いからお金を貸すことで、その差が利益になるのである。とはいえ、貸したものを返してくれないと金融機関は困ってしまう。だから、お金を返してくれなさそうな会社にはお金を貸せないし、そのために工場だの土地だの家だのを担保に入れる事もある。ドラマ半沢直樹が大ヒットした影響もあってか「銀行は晴れの日に傘を貸し、雨の日にとりあげる」などと言う人もいるが、金融機関はそんなに悪者ではない。

なので、借りたお金が返せなくなると企業は倒産してしまう。もし、借金返済のために別のところから借金しようとすると、更に高金利で借りなければならない。なので僕は基本的に借金をしないことを薦めている。

お金を借りると言うのは信用があるということである。これから起業する人に信用などあるはずもない。だから銀行からお金を借りて、それ以上に業務を拡大できるというのは、信用や実績がある人が言う事である。自分のやりたい事を実現するために、必ずしも起業する必要は無い。副業で行うとか、誰かの他の仲間を見つけるとか、あるいは自分が勤めている会社に新規事業として提案するという方法だってある。

それでも起業したいというならば、その理由を明確化したうえで、まずは自己資金の範囲内で行う事を僕は薦めている。

起業アドバイザーによっては、創業者融資を受けるとか、親や親せきからお金を借りるとか、クラウドファンディングを利用するとか、いろんな方法を薦めてくれるかもしれない。しかし、借りた金はいつかは返さなければならない。

出資なら返さなくてもいいではないかと思っている人もいるかもしれないが、出資者に経営の口出しをされたり、最悪会社がうまくいったら乗っ取りに合うかもしれない。

だから僕は基本的に借金は反対である。だから起業に悩み、年をとってしまったのだけど。

お金を借りる事を考えるよりも借りないでできる方法を考える

幸いにして起業に対する資金的なハードルは低くなっている。昔は最低でも株式会社は1000万、有限会社は300万の資本金が必要であった。また、設立登記などを司法書士に依頼すると最低30万円くらいはかかった。更に事業所を構え、事務員などを採用すれば1000万くらいはあっという間になくなってしまう。

しかし現在は株式会社は資本金1円でも可能だし、設立登記もオンラインで行う事で10万円もかからず、手間も楽になった。オフィスも自宅やバーチャルオフィスでも可能だし、ホームページも自分でつくればサーバーなどを借りても年1万円程度で広告宣伝ができてしまう。事務員もリモートワークにすれば事業所や人件費コストも削減できる。

ただ、いくら削減しても限界はあるし、それに自分がやりたいビジネスが店舗などが必要な場合もある。それを借金もしないで事業をはじめるというのは無理かもしれない。

しかし、例えば飲食店をやるにしても、らーめん屋とかを屋台で始めるとか、夜しか営業していない店を昼間だけ借りるとか、いろんな方法がある。自分の店を持ちたい気持ちはわかるが、人の店を借りて成功してから自分で行っても遅くはないと思う。

そのように、ホームページ作成、プログラミングなどできるだけコストをかけずにできる事業を考えるか、飲食店などのようにコストがかかる事業でもそれをできるだけ少なくすむように考える事が必要である。

ただ、わかりやすいので飲食店を例にとったが、飲食店は設備投資にお金がかかるうえに、競争が激しい上に、コロナなど思わぬ影響を受ける事もあるし、更に将来人口が減っていく日本の中で、本人が腕に絶対的な自信と経験があり、集客が間違いなくできるという場合でなければ、僕は絶対に薦めはしない。

起業の準備については、また別の日記で話そうと思っているが、その前段階として、何のために起業をするのかを明確にし、起業するにしても、すべての初期投資を無借金で行い、更に半年以上は生活できる資金を準備するようアドバイスしたい。というのも起業するといろいろ大変なことがあるが、お金の事はあまり心配しなくてもすむようにしないと、必ず体を壊すからである。

やりたいことを実現したくて起業したのに、お金のためにそれができなくなって後悔するほど辛い事はないし、お金の為に悪い事をする人をたくさん見てきたから、少なくとも僕に相談しに来た人にはそれを伝えている。

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