無茶受けが人を成長させる

苦しんでいる女性 モチベーション
苦しんでいる女性

日本には起業する人が少ない。もっと起業を考える人が増えると、日本は元気になると思うのだが、なかなかそうはいかない。

なぜ日本には起業家が少ないのか?そしてどうしたら起業家が増えるのか?今日はそれを考えてみよう。

日本に起業家が少ない理由

日本には起業家が少ない理由として、起業家教育ができていないという人も多い。

しかし、日本にも起業家教育の仕組みは多くあり、MBAや一部の大学のカリキュラムには普通に組み込まれている。更に国も起業家支援に力を入れている。

つまり、十分かどうかは別として起業家教育や起業家支援の制度は日本にも整備されている。

では、なぜ起業家を目指す人が少ないのか?それについて自分の体験から話してみたい。

起業家に対するイメージが悪い

GAFAの創立者を見るまでもなく、アメリカでは会社を立ち上げて一代で世界的な企業をつくった人が多い。それに比べて日本の世界的企業は100年以上の長い歴史を持った会社がほとんどである。

起業をしない理由としては、一番多いのは失敗するリスクが大きいということにある。

例えば、東大、早稲田、慶応などの大学を出ているのに起業するともったいないと言われる。

頭の良い人は大きな会社にサラリーマンとして勤務するか、医者や弁護士を目指す。

実際に自分も良い大学を出て、良い会社に入り、定年まで勤め上げる。そうすれば一生安泰だと思っていた。

サラリーマンだって安泰ではない

とはいえ、サラリーマンだってリスクが無いわけではない。大きな会社でも簡単に倒産する時代である。少子高齢化が進む日本の中で、国内マーケットの縮小は続く。国内マーケットの大きさに支えられ、内需の成長に依存していた会社に将来はない。

一方海外に目を向けると、多くの国が日本を上回るスピードで成長している。アメリカとならぶ経済大国だったのは過去の話。日本の世界における地位は下がる一方である。

実際に優秀な学生は海外の企業に就職している。当然のことながら、初任給で1000万を出す会社など日本には無い。海外では2000万以上初任給を払う会社もざらにある。日本のサラリーマンでは部長になったところで2000万を超える可能性は低い。

医者や弁護士が良いのか

では医者や弁護士になればお金持ちになれるのだろうか?

確かに一昔前は医者や弁護士はお金持ちというイメージがあった。
医者は23万人、弁護士は2万人。

一方サラリーマンは5300万人。

しかし、医者は増加しすぎて競争過多になっている。診療報酬も以前ほど高くは無いし、一方で看護士や事務スタッフの採用は難しくなり、賃金も上がっている。そのため、開業医として成功する医者は減っている。

弁護士も昔ほど稼げない商売になっており、特に法科大学院が創設された頃から供給が過剰になっている。

ロバートキヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」にもあるように、医者や弁護士は本当の金持ちではない。

本当の金持ちとは起業家である

同じく「金持ち父さん貧乏父さん」にも書かれているが、本当の金持ちとは起業家と投資家である。

しかし、投資家になるには、親から莫大の財産を受け継いだとか、宝くじが当たったとか、つまりは元手が必要である。元手10万からはじめて1億になったとか言う広告を見ることもあるが、おそらく詐欺であろう。

つまりは、お金持ちになったというより、元々お金を持っている人が、企業に投資したり、不動産に投資したりして、更にお金を増やしたというだけのことである。

そのため、一般的に金持ちになる近道は起業家ということになる。

しかし、本当に金持ちとは起業家であると書いてしまったが、書いている自分が恥ずかしくなるくらい私は貧乏な生活をしている。

ただ、仕事は非常に楽しい。起業は失敗のリスクがあるのは確かである。ただ、やりたい仕事をしているとストレスは溜らない。というか、仕事が楽しいと、他の事に気が回らなくなる。

サラリーマン時代はストレスが貯まると、ついブランド品を買ったり、お酒を飲みに行くこともあった。その結果必要の無い物を買ってしまったり、二日酔いで苦しむこともあった。

でも今は物を買うことに興味も無いし、たまにお酒を飲むとしても、コンビニの惣菜と発泡酒で最高に幸せな気分になれる。

成功した起業家はたしかに数えるくらいしかいないかもしれないが、頑張れば幸せな生活を送る事くらいは誰にでもできる。それは、サラリーマン時代とはまったく違う価値観である。

実際に起業した人にしかわからない感覚なのであろうが、粗末な食事で、寝ずに仕事をして、髪の毛ぼさぼさでおしゃれも出来ず、給料もまったくない。でも凄く充実していて、幸せなのである。

そうやって楽しんで仕事を続けていれば、いつか芽が出て花が咲く。

ただ、起業して失敗する人が後をたたないのは、資金が底をついたり、情熱が続かずに途中で諦めてしまうからではないか。私はそう思っている。

若者はもちろん、中高年も夢を持って

起業家というと若い人というイメージがあるが、むしろ中高年に勧めたい。

というのも、中高年にはサラリーマン時代につちかった人脈、知識、経験がある。子供が独立し、そんなにお金の心配はしなくていい。ただ、このままサラリーマンを続けていてもつまらない。

そんな人は起業しない理由はないと思う。

人生100年時代、60代、70代だって時間がいくらでもある。ゲートボールやカラオケ、山歩きに時間を割くよりも、趣味のように楽しく仕事をする。そんな選択肢があっても良いと思う。

「自分は年だから起業なんて」と言われるかもしれないが、年だから起業すべきだと思う。

自分もサラリーマンを30年以上経験し、50代後半で独立した。若い時は起業しようなんて思った事もなかったし、自分はサラリーマンが一番合っていると思っていた。

しかし、起業してみると不思議なことが起こる。まるで学生時代から起業を考えていたような雰囲気になるし、性格も確実に変わってきたのである。

起業家は猫っぽい?

良く猫が好きか?犬が好きか?という話になるが、僕は昔は犬の方がどちらかというと好きであった。

実家でポメラニアンを飼っていたこともあり、世界一かわいいと思っていた。

しかし、最近は完全に猫派である。もちろん犬が嫌いになったわけではない。ただ、You Tubeなどでついつい見てしまうのは、もちまる日記のような猫の動画である。

実際に日本のペット事情でも、以前は犬を飼っている人の方が多かったが近年は完全に猫の数が逆転している。高齢化社会の中で、散歩もいらず、さほど大きくならない猫の方がライフスタイルに合っているのかもしれない。

ただ、自分の場合は起業したことにも影響しているような気がする。

犬は主人にとても従順である。待てと言われたらどんなにお腹が減っていても待ち続けるし、主人が帰ってくれば全力でしっぽをふって駆け寄ってくる。

一方猫はきまぐれである。主人が帰ってきてもしらんぷりしたり、平気で仕事の邪魔をする。とても自由である。

そんな犬と猫の性格の差は、なんとなくサラリーマンが犬、起業家が猫というイメージを連想させてしまう。

起業家に変わった人が多いというが、サラリーマンは従順差を求められ、上司の命令に背くことは会社で出世から見放される結果となる。

起業家の場合は、新しいアイデアを求められる。嫌な上司もいないし、誰から命令されることもない。とても自由である。

もちろん、サラリーマンであっても自由な発言ができる会社や職場もあれば、起業しても取引先の無茶な指示に従わないといけないこともあるだろう。

ただ、自分が起業してみて思ったのは、サラリーマン時代の自分はとにかく上司に好かれる事だけを考え、典型的な犬っぽい人間だったが、起業してみて猫っぽい性格になったなという実感である。

無茶受けが人を成長させる

無茶振りという言葉は良く耳にするが、無茶受けという言葉はそれほど耳にはしないだろう。

ただ、多くの起業家が直面するのはこの無茶受けのパターンであろう。

私の話だが、最初に起業したときにまったく仕事が無かった。特にお客様もいなくて、0からのスタートであったが、コロナ禍でもあり多くの企業は研修に割いている時間もお金も無い。

このままでは会社を続けることができないと、研修講師以外の仕事も考えたり、またサラリーマンに戻ることも考えはじめた時期に、ある研修会社から仕事の依頼が入った。

内容は新人研修。しかもクライアント先は大手通信会社のN社。スタートアップの会社には喉から手が出るほどありがたい仕事である。

これは何が何でも引き受けるしかない。そう思って2つ返事でお願いしますと言った。

しかし、新人研修と言っても、いわゆるビジネス研修ではなく、プログラミング研修。そして言語はJavaである。

自分は新入社員だった頃にCOBOLというプログラミングを学んだことがあった。しかし、それから30年以上が経っている。しかも保険会社の社員だったので、基本的に仕様を考えて、プログラミングはパートナー会社に発注するのが主な役目。大学も文化系で専門にプログラミングを学んだ事もない。しかも、30年前にはインターネットもなく、コードも手書き。今とはまったく違う環境であった。

つまり、Javaのプログラミング経験もなく、システムから30年近く離れて、大学も文系、そんな私が新人とはいえ、日本を代表する会社のプログラミング研修を行う事になったわけである。

無茶受けしてから猛勉強。研修がスタートするまで2ヶ月ちょっとしかない。はじめてのJavaといった入門書を買い、応用編、実践編など片っ端から本を読み、You Tube動画も100本以上見た。独学で一日16時間以上、毎日Javaの勉強をし、研修に望んだ。

もちろん、他の先生は10年、20年といったベテラン揃いのプログラマーばかり。

かたやプログラミング経験ほとんど無し。ただの研修講師。勉強初めて2ヶ月少々。

一緒の土俵に上がることが不自然なくらいである。

自分の無茶受けの結果

今の学生さんは、大学時代にプログラミングを勉強してきた人も多く、学習カリキュラムも高度。私よりも優秀な受講生さんもたくさんいた。しかし、努力の結果なんとか新人研修を終わることができた。

もちろん、受講生の質問にすぐに答えられなかったり、他の先生ならすぐにわかるようなプログラミングの間違いを見つけられなかったりしたことはあった。

でも、これが起業するということなんだなと思う。

こんな話をすると、「凄いですね。とても自分にはマネできません。」とか「斉藤さんだからできるんですよ。普通の人間にはできません。」と言われるかもしれない。

しかし、僕はいたって普通の人間である。確かに、たった2ヶ月の勉強でここまで理解できるのは天才ですねと言われ、その後もリピートで仕事ももらえるようになったが、私に才能など無い。自分を断崖絶壁に追い込んで死にもの狂いで努力したからであり、そのくらいの無茶受けは必要だと思う。

実は、スティーブ・ジョブズもビル・ゲイツも似たような事、というかもっと凄い無茶受けをしている。

スティーブ・ジョブズは最初にアップルコンピュータとしてPCの製造・販売をはじめた頃、商品も無いのに受注してしまい、徹夜で作業したけど納品に間に合わず、パーツ向き出しの未完成品を持っていったというエピソードがある。

ゲイツもIBMでまだ出来てもいないOSの話をし、では見せてほしいと言われ、そこから徹夜でOSを作成し、テストもほとんどしていない状態でプレゼンテーションに望んだという逸話がある。

何歳になっても遅すぎることはない

それに比べたら、私の話など小さな話である。自分がわからないことがあれば、頭を下げて他の先生に聞けばなんとか済む。そして、その時一生懸命勉強したJavaは、実際に自分でプログラミングをすることはあれから一度も無いが、その後のDX研修や、ノーコードプログラミング、他の新人研修などに役にたっている。

何より、必死で頑張れば道が開ける。そういった自信にも繋がっている。

だから、何歳になってはじめても遅すぎることはない。

カーネル・サンダースがケンタッキーフライドチキンを創業したのは65歳のこと。しかも、成功を収めたのはカーネル・サンダースが90代になってからである。

カーネル・サンダースは学歴で言うと小学校卒業程度。職を転々と変え、いろんなアイデアで起業したものの何度も失敗を繰り返し、最後には大金持ちになった。

なので、起業して10年や20年で失敗した、うまくいかなったというのは早すぎると彼も言っている。

もちろん、若い人には時間も体力もある。しかし、中高年のみなさんには若い人には無い知識や経験がある。今は学校などに通わなくても、インターネットなどでいろんな情報も得られ、ほぼ無料で勉強することもできる時代である。

100歳までいきるとしたら50代はまだまだ折り返し地点。65歳になって高齢者と呼ばれるようになっても、あと35年もある。仮に75歳で引退するとしても10年もある。

起業を成功させる条件は2つしかない。

まずははじめる事。そして続ける事である。

シニア起業は、ローリスクで起業できる様々な条件が揃っている。一度しかない人生、老後の楽しみとして起業を考えてみてはいかがであろうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました